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こぎん刺しの模様1つ1つのことをモドコといいます。
津軽弁で元になるという意味で、このモドコをいろいろと組み合わせて図柄を描いていくのです。
モドコの数は多く、40種類ほどもあります。そのため何通りもの図柄を作り出すことができます。
モドコは基本的に奇数の目の組み合わせで刺していきます。
そのため中心から左右対称になるデザインのものが多く、コングレスに刺すと正方形を傾けたような上下左右の高さが同じ長さの菱型になりますが、本来こぎん刺しを刺していた麻の生地を使うと縦長の菱型になります。
いずれ極めていくと、縦長のこぎん刺しが刺してみたくなるのかもしれませんが、筆者は今のところ手芸店などで簡単に手に入るコングレスを使って刺しています。
それではモドコの種類について基本の形から見ていきましょう。
中央が5目の菱型の形です。下から数えると1目、3目、5目、3目、1目となります。
モドコの中でも、一番簡単な形が菱型の形をしたカチャラズです。
カチャラズとは津軽弁でカチャ(裏には)ラズ(あらず)裏ではありませんという意味になります。
これはマメコと呼ばれるモドコを刺したときに出てくる裏の模様と同じなので、裏ではありませんよと言っているということなのです。
中央が11目の菱型で裏側に5目の菱型(カチャラズ)が現れます。
マメコは豆という意味でカチャラズの次に簡単な形になります。
中央の刺していない部分も菱型で現れるのがマメコの特徴です。
一段ずつずらして刺すことでこの形になります。マメコは連続刺しをするとまた違った表情が見られ、刺すときは最後の1目を省略して刺します。
中央が9目の菱型で中央の1目を刺すことで点が入ります。
ハナコは花という意味で、中央の1目が花の花芯に当たるのでしょう。小さくてかわいらしいモドコです。
イシダタミは菱型の中に正方形が入った形になります。(昔ながらの麻の生地だと長方形ですね。)
マメコは中も菱型なのに対してイシダタミの方は水平垂直になっているのが分かります。
ハナコが4つ組み合わさったような形をしています。
表面にぎっちりと刺し目が現れるハナムスビは模様1つでも存在感のあるモドコです。
モドコの中でもムスビバナを使って作られている模様が多数あります。
四つの菱型が組み合わさった形をしています。
シンプルで現代的な印象を持っているモドコです。筆者はこのシンプルさが気に入っています。
フクベとは瓢箪(ひょうたん)のことです。フクベには中央に線の入っているものと入っていないものとがあります。
菱型の中にハナコが左右に配置されているのが分かります。
連続刺しをするときはハナコの模様を重ねるようにして刺す場合と、1目余白を入れて刺していく場合とがあります。
個人的には1目あけて菱型の形がきれいに出る刺し方のほうが好みです。
フクベが横になったような形をしている模様です。
菱型の中にハナコが上下に配置されていますが、中央の終わりと始めの1目を刺していないのが特徴です。
昔の女性の髪形である文欽高島田から付けられたという説があります。
どことなく女性の額の生え際に似ているような感じもしますね。
四方のハナコの横にクロスの模様があるような形をしています。
コマクラ刺しの名の他にキクラコという名もあるようです。
コマクラ刺しは菱型の上下左右にハナコが配置されている模様で、シマダ刺しとフクベをドッキングさせたような形をしています。
菱型の中に四角を4つ組み合わせたような形があり、魚のウロコを表現しています。
市松模様のようでモダンな印象もありますね。イシダタミを発展させたような模様です。
モドコの名を見て分かる通り、こぎん刺しを生み出した先人は生活に身近な植物や生き物を取り入れて刺していたことが伺えます。
生活の一部としてこぎん刺しが刺されていたのでしょう。
これらの模様の組み合わせで、無限大の図柄が描けます。ぜひこぎん刺しの元となる基本のモドコを使ってすてきな図柄を創造してみてください。