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世の中には敏感に物事や人の行動、言動、視線や態度などに反応してしまう人間がいます。筆者もその一人であり、このことが引き起こす脳への負担にいつも悩まされてきました。
こういった人をHSPというのだということを最近知ったのです。
HSPである人は全体の人口のおよそ1/5いて、割合的には他の先天的な生きづらさを抱えた人に比べて多いのではないでしょうか。
社会に出て働いたり、何らかの形で人と接する機会の多い人はこうした人をたびたび見かけているのではないかと思います。
ただ、敏感に感じ取ってしまうHSPの人の特徴として、弱々しく見えてしまったり、悩み事に対していつまでも自責の念にさいなまれているのを目にするたびに、「なんて臆病な人だ」「どうしてもっとプラス思考になれないのか」と苛立ってしまう非HSPの人が多いのも事実ですし、社会全体から見てもそういった人を非難している風潮があることは事実です。
ともするとそれはイジメの対象として見られかねないこともあります。
それにはHSPの人の問題に陥ったときの心の動きに関係があります。大抵の非HSPの人は問題が起こったのはさまざまな要因が考えられて、自分ひとりの責任ではないことをよく知っています。
しかし、HSPは往々にして問題が起こったのは自分の責任であり、自分が至らないから問題が起きるのだと絶えず自分を責める傾向にあるためです。
それではHSPの人が陥りやすい症状や状態の現れ方について、筆者の実体験なども織り交ぜながら少し触れていきます。
【外向的な観点】
強い光やちょっとしたもの音、大きな音、騒音、中には嗅覚が敏感に反応してしまう人もいるようです。
強い光が目に入ったり、大きなものの音がしたり、異臭が少しでもしたりするとそれだけで疲れてしまうという症状が現れる人もいて、一見賑やかで楽しそうに見える人込みが苦手だったりもします。
サラサラとした肌触りや、ザラリとした質感の物を長時間触っていたいような感覚や、この肌触りは嫌いだといったこだわりが現れることがあるようです。
自身は子供の頃にサラリとした質感のタオル生地が大好きでした。時間の許す限り永遠と触っていたように記憶しています。
化学的にはまだ解明されていない部分が多くあるようですが、食品添加物など直接体に取り込む化学物質や、携帯電話などから発せられる電磁波によって体調を崩すというかなり敏感に反応してしまうケースもあるようです。
私自身はそこまで強い反応は現れたことがありませんが、中にはこうして一見すると分かりにくいような要因で具合が悪くなってしまうということもあります。
【内向的な観点】
HSPの人で一番辛いことが何でも細かく分かってしまうという点ではないでしょうか。
HSPの人が引き起こすさまざまな問題における特徴的な要因だと思います。これは非HSPの人と比べると感じとる情報がかなり多く些細な変化でも、今まで記憶してきた情報を引き出してきて判断ができてしまうためです。
この人は怒っているな、とかこんな場合は次に何が起こるというのをある程度予測できてしまうのです。
HSPの人は空気を読みすぎるほど読んでしまって、人と人との関係性が見えすぎてしまうため重たい雰囲気だったり、張り詰めた空気感だったりすると上手く自分を表現できなかったり、立ち回ったりすることができなくなります。
さまざまなことが非HSPの人よりも多く情報として入ってきて、分類されて記憶しているのでちょっとしたことでも直観力が働くことが多々あります。
その能力が強い人になるとスピリチュアル的なといいますか、非科学的な説明することのできない直観力を持っていることもあるようです。
人が争って滅びないようにという使命を背負って生まれてきたのだろうかと?というほど人と人が争っていることに耐えられない部分があります。
よって、潤滑剤になってスムーズな人間関係を築くことが得意です。
人の気分や感情に人一倍引っ張られやすいので、自分が怒られている訳ではなくても身近で怒鳴り声や喧嘩をする声が聞こえてくるだけで自分に言われているような気持ちになって辛くなり心がソワソワとしてしまいます。
今まではそんな自分が弱いのだなと感じていたのですが、そうではないようです。
治すということができないので、感情が引っ張られないためにもその場を離れられるのであれば聞こえない場所に一時避難するなどした方が良さそうです。
敏感症の人は自分を責めやすく、人との壁が薄いために容易に人の悲しみ・怒り・憎しみなどを自分の体(脳)の中に取り入れてしまうため非HSPの人には考えも及ばないような苦しみを抱えてしまうことになります。
考えなければいい、という次元の話ではなく、これは意識をしていても止められない現象です。
自分自身、何度も経験がありますし、どうしてくよくよと悩んでしまうんだろうと落ち込んで絶望的になってしまうこともしばしばでした。
自分は弱い人間だ、と何度自分をなじったことかと思うとHSPという言葉にもっと早く出会っていれば、もっと自分を大切にできていたかもしれません。
また、その場の空気感が手に取るように無駄に分かってしまうので、伸び伸びと行動ができなかったり、思うような行動が取れずびくびくしてしまったり、上手く立ち回れなかったりします。
非HSPが逆切れして終わる様なことでも自分が悪いのかと悩んでしまい、うじうじとしているとどうしても「この人は弱虫だ」というレッテルが貼られてしまうこともしばしばです。
その場の空気を良くすることには長けていますが、文句を言ったり人を追い詰めたりすることには違和感を感じてできないことが多いのです。
このように思い悩むことで交感神経と副交感神経とが上手く切り替わらなくなり乱れてしまうためさまざまな辛い症状を引き起こしてしまいます。
神経の働きについて簡単に説明をすると、人間には交感神経と副交感神経が備わっており、交感神経が活発に働くことによって適度に緊張をして、やる気や集中力を起こさせてくれます。
また、疲れた体や脳を休めるために交感神経とは入れ替わりに今度は副交感神経が活発になり、体や脳が休眠を取る体制に入ります。
このリズムが壊れたり、交感神経の異常な高まり、興奮のために心拍数が上がり脳へ血液がどっと流れ込むことによって思考力の低下や不眠症などを引き起こし、やがて体がしびれたり、手先が冷たくなったり動けなくなるなどの症状が出始めます。
酷い場合だと声が出なくなったり、朝起き上がることもできないほどの症状が出る人もいるようです。
HSPで多くのことに敏感に反応してしまう人へ向けて言っておきたいことは、「HSPは治るような病気ではない」ということです。
持って生まれたものなのでこの体質と共に生きていかなければいけません。
ただ、訓練次第で冷静さや平常心を保つことはできるでしょうし、何よりもあなたの良心に浸け込んでくるバンパイア*をとことん避けて生活をしたり、一人の時間を大切にして疲れてしまった神経を休めることが大切です。
また、働く環境作りがHSPの人にはとても大切になってきます。
仕事の内容もなるべく一人でできる仕事や少人数でできる仕事であれば長く続けることもできるかもしれませんが、多くの人間と接しながら仕事をしなければいけないときはなるべく敏感に反応してしまうセンサーの感度を下げるように試みて、多くのことに感情を動かさないようにすることが必要になります。
とは言っても、勝手に脳の中に情報が送られてくるのでとても難しいことですが、なるべく多くのことと関わらないように自らをセーブするしかありません。
自分自身も、これが上手くやれているかというと?です。いつも自分が居なければ丸く収まるのかなとその場を去ることが多いです。
日本ではまだHSPという人間がいるのだという認識があまりなく、認められたとしても1/5と全人口からの割合としては少ないのでただの弱虫、くよくよして面倒な人という感覚はなかなか変わってはいかないだろうなと思います。
それでも、自分の中の考え方を変えてこんな自分を誇りに思って納得して生活を送って行けば、生きづらさから解放される日が来るかもしれません。これは筆者もこれから試していきたいと考えています。
*(注釈)世の中にはHSPの壁が薄く人の気持ちを容易に受け入れてしまう体質をよく分かっていて、その人のエネルギーを吸い尽くすかのように消耗させ自身が元気になる人間がいます。このバンパイアには要注意で、近づかないようにすることが賢明です。
もしかし私はHSPなのではないか?と感じた方。
もっと詳しく知りたいという人におすすめの本をいくつか紹介します。
読んでみて、ああそういうことなのかと納得するだけでも不安を抱えやすいHSPにとっては楽になれますし、どうしたらもっと世の中を生きやすくなるのかのヒントが詰まっていますので、ぜひ気になる方は手に取ってみてください。
とても読みやすく読み切るのにさほど時間もかからないので、すんなりと読めてよかったのでこちらの本が私の一番のおすすめです。
HSPの特徴について詳しく書いてあり、対処法なども簡単に記してあるので自分のためにもなります。
最後に非HSPの人に向けたHSPとの関わり方についても解説があり、知り合いや家族にHSPではないかという人がいる場合にとても参考になるのではないでしょうか。
HSPについてかなり詳しく書かれています。
大学教授であり、セラピストとしての一面ももち、さらに自身もHSPであるというHSPという概念を提唱しHSPの第一人者、アーロン博士によって書かれた著書なので、やや難しく書かれているところもありますが読み応えのある1冊です。
四コマ漫画を交えつつコミカルに、自虐的に作者の感じる事やHSPとはどういうことかということを本人の経験と共に綴ってあります。
そうそうと同感することが多く作者なりの切り抜け方や生き方が参考になる部分も多くあります。
女性が多いという変な先入観を世の中が持っていることにも触れていて、HSPに男女差がないことを証明している書籍でもあります。
HSPという考え方にもっと早く辿り着いていれば、自分のことをもっとよく考えてどうして生活して行けばいいのか、人との関係性を考えながらこの自分と折り合いをつけ、どのようにして暮らしていけばいいのかを考えていたかもしれません。
それほどHSPの「敏感すぎる」というものは自身でも手に負えないほどの大変さがあります。
筆者自身がこのことに出会えたことに運命的なものを感じますし、弱い自分やくよくよしてしまう自分が許せなくて悩んでいる人がいましたら、ぜひそんな自分自身を慈しんで大切にしてもらえればと思います。
そして、家族や友人にHSPの人がいる人はそうやって生まれついてるのだとおおらかに見守って頂ければ幸いです。